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日本食ファイル5

クリームあんみつ

クリームあんみつ
  • 料理名 :クリームあんみつ
  • :黒糖(で作った黒蜜)、アイスクリーム(お好みの味の)寒天、あんこ、カットフルーツ(みかん、黄桃、パイナップルなど)の味
  • 材料 :寒天(ゼロカロリー!)、赤インゲン豆、あんこ(小豆と砂糖)、黒蜜(黒糖)、アイスクリーム、カットフルーツ(みかん、黄桃、パイナップルなど)
  • 調理法 :材料を盛り付けて冷やす
  • 値段 :300円〜700円前後

あんみつ(餡蜜)のデラックスバージョンとして知られるクリームあんみつは、サイコロ状に切った寒天に黄桃、みかん、パイナップルといったカットフルーツと、白玉、ぎゅうひ、更にアイスクリームをトッピングして食べる、日本を代表するひんやりスイーツです。おっと、それから最後の仕上げのチェリーも忘れちゃいけませんでした。たまに透明な白蜜(しろみつ)に置き換わることもありますが、大抵(たいてい)は黒蜜(くろみつ)の入った小さな容器(ようき)が添(そ)えられて出て来ます。個人的(こじんてき)には、黒蜜(くろみつ)の方が好みです。

長い間、日本全国(にほんぜんんこく)で親しまれて来たデザートで、特に湿気(しっけ)が高くて暑(あつ)い夏には、それを和(やわ)らげてくれるスイーツとして喜(よろこ)ばれて来ました。少なくとも30年以上前から、おいらにとってはご馳走(ちそう)でした。

あんみつは、蜜豆(みつまめ)から発展(はってん)したものだと言われていますが、ではその蜜豆(みつまめ)をそもそも作ったのは誰だったかというと、1890年代後半に舟和(ふなわ)という和菓子屋(わがしや)さんが発表したのが最初だったと言われています。蜜豆(みつまめ)の中身はほとんどが寒天(かんてん)と赤インゲン豆で、小さく切ったパイナップルやあんず、みかんなどのフルーツに、ぎゅうひが添(そ)えられていたそうです。高級(こうきゅう)な銀(ぎん)の器(うつわ)に黒蜜(くろみつ)をかけて盛(も)られ、銀のスプーンを添えて出された当時(とうじ)のあんみつは、きっと「おしゃれなスイーツ」として注目(ちゅうもく)を集(あつ)めたんでしょうねぇ。

ちょうどその頃(ころ)、老舗(しにせ)の和菓子屋(わがしや)だった若松(わかまつ)の2代目(だいめ)は、自慢(じまん)の自家製(じかせい)あんこを生(い)かした新しいメニューはできないものか、と頭(あたま)を悩(なや)ませていました。そして遂(つい)に、蜜豆(みつまめ)にあんこを加(くわ)える決断(けつだん)をしたのでした。あんこと蜜豆の見事(みごと)なコラボレーションは、またたく間に大人気(だいにんき)となりました。が、2代目はこの新メニューの販売権利(はんばいけんり)を独(ひと)り占(じ)めにするどころか、日本全国に広(ひろ)めるために、他(ほか)の菓子屋(かしや)さんにも作り方を教えたんだとか。なんて心の広(ひろ)い人だったんでしょうねぇ。

菓子職人(かししょくにん)さん達(たち)の工夫(くふう)と努力(どりょく)と広い心のお陰(かげ)で、私達(わたしたち)は夏の暑さをやわらげてくれる美味(おい)しいあんみつを食べられる、というわけですね。ちなみに、ここに登場(とうじょう)した2つの和菓子屋さん、舟和(ふなわ)さんと若松(わかまつ)さんは、今(いま)でも浅草(あさくさ)と銀座(ぎんざ)に、それぞれお店(みせ)を構(かま)えています。なお、写真は牛がおやつに用意したクリームあんみつです。