外食について

日本での外食

外国での食事は、異文化体験にもつながる、海外旅行の最大の楽しみの1つと言えます。その土地の食べ物や飲み物は、普段から慣れ親しんでいるものとはちょっと違うかもしれませんが、驚きと新しい発見に満ちているものです。

日本は、伝統的な和食(日本料理)はもちろんの事、世界各国の料理を食べる事ができるグルメパラダイスで、味も値段も千差万別です。東京や大阪などの大きな都市の中心部では、お金の使い過ぎにさえ気をつければ、世界中から集まる様々な料理を楽しむ事ができます。一般的に、日本での外食は他の国々に比べて高くつくと言われていますが、実は通りや路地裏のあちこちに、意外と安くておいしい店がたくさんあったりします。

どうです、あなたも日本での外食に挑戦してみませんか?

飲食店に入る前に

見知らぬ外国での食事は、とかく「うそっ」とか「マジで」といった、驚きの連続になりがちです。ここでは、そんな状況に陥る前に知っておきたい情報やアドバイスを紹介します。

現金?それともクレジットカード?

何か買い物をする時、日本では他の国ほど頻繁に(日常的に)クレジットカードを使いません。これは、もともと日本にはクレジットカードによる、決済のシステムが無かったからだと思われます。そのためか、普段のちょっとした買い物は、今でも現金での支払いが一般的です。

飲食店もこの例外ではなく、特に小さな商店や飲食店では、こうした現状を背景に、クレジットカードでの支払いを受け付けていない店もたくさんあります。(クレジットカードでの決済は、店側が手数料を負担しなければならないという事も、小さな商店でクレジット決済が定着しない理由の1つではありますが...。)

そんなわけで、食事をしに街にくり出す時には、必ず幾らか現金(日本円で)を持ち歩くようにした方が良いでしょう。(ホテル内にあるレストランなら、その心配も無いと思います。)そして、できれば店に入る前に、支払い方法(クレジットカードでの支払いが可能なのかどうか)、お手持ちのクレジットカード(クレジットカードにも色々な種類がありますので)での支払いが可能かどうか、などといった事について、確認しておくと良いでしょう。

たいていは、店の入り口の辺りに貼ってあるシールで、上に書いたような事が確認できますが、店員さんに聞いても教えてもらえます。また、クレジットカードで支払いをする場合には、カードの有効期限や利用限度額、利用残高なども、合わせて確認しておく事をお忘れなく。

喫煙席と禁煙席について

日本の飲食店は、今の所全面的に禁煙にはなっていません。

最近は「禁煙」というのが世界のトレンドになっているようで、御多分にもれず、日本でもこの10年ちょっとの間に遅まきながら、公共の場所での喫煙を禁止するような動きが出て来ました。それに応じて禁煙席を設けた飲食店が現れ、現在急激に増殖中です。

今の所、喫煙者と禁煙者が座席によって分かれているというのが、最もよく目にする光景です。(ただし、バーや居酒屋などのお酒を出すような店では、禁煙席というもの自体が存在しないのが一般的です。)また、まだ数は少ないものの、喫煙席と禁煙席を壁などで仕切って、完全に分けている店も最近増えて来ました。

座席まで案内してくれるウェイターもしくはウェトレスがいれば、まず殆どの場合、どちらの席がいいかを聞かれるので、自分の希望を伝えて案内に従いましょう。案内してくれる人がいないような所では、店内に表示がないか探してみましょう。たいてい、喫煙席にはタバコのマークの、そして禁煙席にはタバコのマークを斜線で消した絵柄の、表示が立っています。

持ち込みは禁止

以前、外国にはBYO(Bring Your Ownの頭文字を取ったもので、お酒などの飲み物を他店で買って来て持ち込んでも良いですよ、という仕組みの事です)というシステムがあると聞いた事があります。とても便利でおもしろいシステムだなあと思いましたが、残念ながら日本には通常このようなシステムはありません。

食べ物や飲み物を提供する事で生活をしている飲食店に、飲食物を持ち込むような事をしてしまうと、日本ではむしろ失礼な人、あるいは常識のない人だと思われてしまいます。ですから、「持ち込み可」などと書いていない限り、飲食物をもって入るのは避けましょう。

ボトルキープ

ただ、日本の飲み屋や居酒屋の多くではボトルキープというシステムがあって、飲みかけのボトルに名札をつけて置いておけば、次にその店に来た時に新しいボトルを注文しないで済みます。もちろん、このシステムが利用できるお酒の種類やキープしておける期間は、食品衛生上限られています(大体2、3ヶ月)が、飲み代を安く抑えるには打って付けなのではないでしょうか。

アルコールを飲まない人については、どこの飲食店でも水またはお茶がサービス(無料)で出されますし(もちろん、めいめいにです、念のため)、お代わりも次いでくれたりするので、そもそも「持ち込み」の心配などする必要は無いと言って良いでしょう。

飲食店で出される飲み物について

お水

「自然」や「日本の食べ物と飲み物」のページでも書きましたが、日本は特別な注意を払わなくても、水道の蛇口から直に水を飲むことのできる、数少ない国のひとつです。

お腹を壊すんじゃないかと心配する人もいるかもしれませんが、殺菌されていて安全ですから、飲食店のサービスで出されるお水もちゃんと飲めます。(それでも最近は、お客さんに美味しい水を飲んでもらおうと、浄水器を使っている店も多いようです。)ただ、日本の水自体は軟水で、ヨーロッパなどの水(硬水)とは水の質そのものに違いがあります。ですが、この違いが健康に影響する事はありませんので、安心して下さい。

日本の飲食店では、食べ物よりも飲み物の方がコストパフォーマンスが悪い傾向にあるので、この「お水サービス」はお客さんにとっては大変便利でありがたいものですし、これを活用しない手はないでしょう。ただし、このサービスのみに頼り過ぎるとケチなヤツだと思われるので、その点には注意が必要かもしれません。

外国語のメニューについて

英語メニュー

日本国内では、全国どこへ行っても日本語が通じるため、日本の人たちは外国語を書いたり話したりするのに消極的で、その結果外国語のメニューを置いている店も少ない、というのが現状です。

殆どの飲食店ではメニューは日本語で書かれていて、そのせいで外国人にとっては注文を決める以前に、何が書かれているのかを解読することすら難しい、というような状況になってしまっています。ですが、最近では近年の日本の外食産業の発達のおかげで、チェーンの飲食店やファミリーレストランなどを中心に、大きな写真と簡単な英語の入った、分かりやすいメニューが置いてあったりします。特に都心部などの外国人の住民が多いような所では、こうした外国語のメニューを置く店も増えて来ているように思います。

もちろん満足して頂けるレベルには程遠いとは思いますが、少なくともどんな料理なのか大体見当がつくという意味では、十分なのではないかと思います。小さな飲食店では、事情はもっと込み入っていて決して十分とは言えませんが、よほど忙しくない限りは、注文の際に店員さんが気持ちよく手伝ってくれるはずです。

営業時間について

営業時間はそれぞれの店によって違いますが、おおざっぱに3つのタイプに分ける事ができます。

チェーン店の多くは24時間営業ですが、その他の小さい店の多くはお昼頃から夜の10時位までか、あるいは夕方の6時頃から深夜までの夜だけの営業だったりします。当たり前ですが、もしも既にどこの店に行くかが決まっているのであれば、その店の営業時間を確認しておく事をお薦めします。というのも、オフィス街にある飲食店などはお昼と夜の営業の間に、休憩時間があったりするからです。

多くの店ではお昼の時間はランチ(ランチタイムとランチメニューの両方を意味します)として区別されていて、中には相席や禁煙などの制約が伴う店もありますが、その代わりにお得なセットメニューを提供してくれます。納得の行かない晩御飯に無駄なお金を費やすのなら、まずランチを試してみてはどうでしょう。夜のメニューには載っていない料理を食べられる事だって少なくありませんし、なかなかいい考えだと思いますよ。私の経験から言わせてもらえば、ランチで美味しいものを安く提供してくれるお店は、たいてい晩御飯でも期待を裏切りません。

この「お昼御飯大作戦」を戦法として使う時のアドバイスとしては、一番忙しい時間帯であろう12時から1時を過ぎた頃に、店に入るという事です。そうすれば、窮屈な席に詰め込まれたり、他のお客に急かされたりせずに、安くて美味しい食事を楽しむ事ができますし、慣れないせいで困った状況に陥ったとしても、店員さんも余裕があるので、きっと快く応対してくれるはずです。