日本の言葉(日本語)

日本で使われている言葉

日本国内で共通に使われている言葉、(つまり公用語ですね)は日本語です。地域によって訛り(なまり)や抑揚(よくよう)など多少の違いはありますが、全国各地どこへ行っても日本語が通じます。大都市圏では、簡単な単語や文章であれば英語でも通じますが、尋ねられた質問に英語で答えるというのは、日本人にとっては苦手な作業のようです。

ところで日本語という言語は、一体どんな言葉と同じグループに属するのでしょう?学術的に見て、何語族に入るのかということについては、未だにはっきりとしたことは分かっていないようです。ですが、文法的に見るとトルコ語やモンゴル語に近いと言われています。と同時に、発音の面ではポリネシアの言葉に近いとされていますし、中には日本語は韓国語に大変似ていると言う人もいるようです。まあ、このことについては言語学者の方々にお任せするとしましょう。

聞き取りと話すことについて

日本語は発音が難しいんじゃないか、と心配していらっしゃる方にとっては朗報です。実は日本語の発音は、他の言語に比べて意外と簡単なんですヨ。それは何故かと言いますと、日本語は他の言語に比べて、使う音節(通常、母音1コに対して子音1コが合わさった、言葉の中の音の一単位)の種類が少ないからなんです。

具体的に数字を挙げてみると、日本語の音節は多く見積もっても120種類を超えることはありませんが、北京語ではその約3倍以上、そして英語では少なくとも8万種類以上もの音節が使われているのです。ね?そう考えたら、日本語の発音は意外と簡単なような気がして来ませんか?

もっとも、音節の種類が他の言語に比べて少ないということは、その分日本語には同音異義語、つまり読み方は同じなのに意味内容の違う言葉がたくさん存在する、てなことになるわけです。そうすると、どうなるのかというと、話し手が同音異義語の内のどの言葉を意味しているのかを、基本的には聞き手側が、言葉の抑揚や前後の文脈から判断せざるを得なくなるのです。日本語ではアクセントというものが、英語やその他の言語のようにハッキリと区別されていませんので、聞き取りに関してはこれが最も難しい作業になるんではないかと思います。

また話す場合についても、単語の発音そのものよりも、聞き手に伝わり易いような、1つ1つの単語や文章全体の正しいイントネーションの方が、難しいと言えるんではないでしょうか。

日本語の文法

基本的な日本語の文法は、主に次の3つの理由から比較的簡単だと言えます。理由その1、主語となる言葉の数量や人称によって、動詞の形が変化することがないから。理由その2、名詞の単数形と複数形の区別が、それほど厳密ではないから。そして理由その3、男性名詞と女性名詞などの区別がないからです。

この3つが全て合わさると、文法的には他の言語に比べて簡単にはなるんですが、その反面どうしても表現が曖昧(あいまい)になりがちです。言い換えると日本語という言語は、相手がどんなことを伝えようとしているのかを、読み手や聞き手側が、話し手あるいは書き手の気持ちを察しながら、判断しなければならない言語だと言うことができます。そういう意味では、読み手や聞き手に頼るところの多い言葉、と言えるのではないでしょうか。

日本語で使われる文字

日本語を書く時に使われる文字は主に3種類で(ローマ字も含めると4種類になります)、たいていはその3種類の文字を組み合わせて、1つの文章の中で一緒に使います。

漢字(「仮名/かな」に対して「真名/まな」とも呼ばれます)は元々中国で生まれ、使われていた表意文字で、1つ1つの字がそれぞれに意味を持っている文字です。日本人が漢字を使うようになったのは、中国から伝えられた5世紀から6世紀頃からだと言われていて、今日でも漢字は日常生活の中で広く使われています。一般的に日本語で使われる漢字の数は、約1850字程度とされていますが、実際に日常生活で使われる漢字の数は、500から600字程度、まあ多くても800字位なのではないかと思います。

日本語ではこの漢字の他に、平仮名(ひらがな)と片仮名(カタカナ)から成る仮名(かな)という文字が、補足的に使われています。仮名というのは表音文字で、1つ又は2つの子音と1つの母音との組み合わせで、1文字が構成されているものです。仮名(平仮名と片仮名の両方とも)は、平安時代(794〜1185)に漢字から作られたものだと考えられていて、平仮名(ひらがな)と片仮名(カタカナ)それぞれ46文字ずつを使って、同じ音を違った形の文字で表します。

平仮名(ひらがな)は、主に漢字を補うようにして使われますが、片仮名(カタカナ)は外来語や擬声語(ぎせいご、ワンワンやガラガラなど、音や声をまねて作った言葉)や擬態語(ぎたいご、ニッコリやドッシリなど、身ぶりや状態をまねて作った言葉)を表すのによく使われます。日本語は、これらの3種類の文字(漢字、ひらがな、カタカナ)によって書き表わされるのですが、その書き方には2通りあります。1つは洋風な書き方で左から右へ横方向に書く書き方(このページのコンテンツみたいなのですね)、もう1つは伝統的な和風の書き方で、ページの上から下に向けて縦方向に右から左へ行を連ねる書き方です(新聞や本はこの書き方が一般的ですヨね)。どちらの書き方も現在でも広く使われています。

日本語の語彙について

日本語が難しい言葉だと思われる理由の1つには、覚えなければならない単語の数が多いから、ということが挙げられるのではないかと思います。どうしてそんなに単語の数がたくさんあるのかについては、日本語を書く時に使う文字に、その理由を見ることができるのではないでしょうか。

漢字は中国から伝えられたものですから、その中の一部の文字は今でも、漢語つまり、その昔中国で使われていた時と、同じ意味で使われていたりします。けれども残りの漢字は和語(日本固有の、いわゆる「やまとことば」ですね)を表す文字として使われています。その一方でカタカナは、西欧の現代的な文化と共に新しく日本に入って来た言葉(外来語)を表すのに、よく使われます。

こうした日本語の書き表わし方を見ると、日本語を表現するための文字の数が、他の国の文化の影響を受けながら増えて来たことが分かりますヨね。そして日本語で使われる単語の数もまた、こうした外国からの文化的な影響によって、それまで使われていた日本語の語彙を大きく広げることに、なって行ったんではないでしょうか。

こうして日本語の語彙が増えて来た結果として、英語の会話を90パーセント理解するために必要な語彙が、3000語程度と言われているのに対して、同じレベルの日本語の会話を理解するためには、1万語近く(!!)の単語を覚えなければならない、と言われているのだそうです。

言葉使い(敬語)について

日本人は、普段から上下関係や内と外の違いというものを、とても敏感に感じています。そのため、自分の身内の者とそうでない者とを分けて考えがちで、外部の者に対しては距離を置くというように、身内と部外者とで違った接し方をする傾向があります。

社会的に地位が高い人と低い人、あるいは目上の人と年下の人の間でも同じことが起こります。これは言葉にも当てはまり、話している相手に応じて使う表現を変えたりします。特に礼儀正しさが求められるような公の場では、敬語(けいご)と呼ばれる丁寧(ていねい)な言葉使いが現在でも使われています。

とは言え、最近では残念ながら私自身も含めて、多くの日本人が敬語(けいご)を状況に応じて正しく使いこなすことができなくなっている、というのが認めざるを得ない現状でもあったりします。