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日本食ファイル4

けんちん汁(けんちんじる)

けんちん汁
  • 料理名 :けんちん汁(けんちんじる)
  • :野菜(人参、里芋、ごぼう、大根)の味+豆腐の味+鶏肉+だし(鶏だし、醤油)の味
  • 材料 :鶏モモ肉、人参、里芋、ごぼう、大根、こんにゃく、豆腐、水、醤油
  • 調理法 :肉と野菜をごま油で炒めてから煮る
  • 値段 :400円前後

けんちん汁は、崩した豆腐と人参、里芋、ごぼう、大根などの野菜を油で炒めたものが入った、具だくさんの澄(す)まし汁です。

日本各地で食べられている家庭料理の一種で、地域や家庭によって醤油味の澄(す)まし汁と、味噌仕立てがあります。

けんちん汁の由来としては、2つの説が有名です。1つは、鎌倉(かまくら)の建長寺(けんちょうじ)というお寺の修行僧が、崩してしまった豆腐を使って汁物を作ったことから、お寺の名前を取って建長汁(けんちょうじる)、それが訛(なま)ってけんちん汁になったという説です。もう1つは、中国から伝わった普茶料理(ふちゃりょうり/肉や魚を使わない料理)の一種だった巻繊(けんちぇん/モヤシをごま油で炒め、塩や醤油で味付けしたもの)が訛(なま)ったという説です。

ただ、巻繊(けんちぇん)が江戸時代に中国から伝わった料理であること、江戸時代の料理書に何種類も「けんちぇん」料理が記されていることなどから、こちらの説の方が信憑(しんぴょう)性があると言えそうです。江戸時代には、モヤシや野菜、豆腐などをごま油で炒め、塩や醤油で味付けし、湯葉(ゆば)で巻いて春巻のように揚げたり、蒸してだし汁をかけて食べる料理を巻繊(けんちぇん)と呼んでいたそうで、料理書に記録が残っているのは、かなり人気があったからではないかと考えられています。

いずれにしても、元々は肉は一切使われていない料理だったんですね。写真は牛母が作ってくれたけんちん汁です。ちなみに、東京の下町出身の牛母は、ずっと鶏肉入りの醤油味で作っているそうです。