日本の自然について

豊かな自然に恵まれた国

山

日本は海に囲まれた島国で、その国土の80パーセント以上が森林におおわれた山地で占められています。そういう意味では、豊かな自然に恵まれた国だと言えるのではないでしょうか。東京や大阪のような大都市から一歩外に出れば、小高い丘や山々や渓流が新鮮な空気で迎えてくれます。また、日本列島は南北に縦に長く伸びていますので、北は北海道から南は沖縄までその地域独特の様々な生き物たちを見る事ができます。

しかしながら、都市化に伴う開発などによって、日本の自然を取り巻く環境は大きくかわりつつあるのも事実です。また、訪れる人達によって自然が傷つけられたり、汚されたりする事も深刻な問題になっています。こうした状況を受けて、日本の美しい自然本来のあるべき姿を守るために、現在さまざまな取り組みや研究、努力が成されています。

日本の山々

その地理的な特徴上、日本には3000メートル級から、もう少し馴染みやすい5、600メートルの物まで、沢山の山々があります。その中で最も高いのが、あの有名な富士山(3776メートル)です。富士山は静岡県と山梨県の県境に位置し、その個性的な外見は数々の写真や絵画、詩歌を通して、今では日本の象徴として広く世界に知られています。(これほど世界的にも有名な富士山が、2006年1月現在、まだユネスコの世界遺産に登録されていない理由は、ゴミの多さとトイレの汚さからだ、と言われているのは悲しい現実です...。もちろん、このような現状を改善するための様々な取り組みが進行中なのは、言うまでもありません。)

日本では、春から秋にかけてが山登りやトレッキング、ハイキングに最適なシーズンで、素晴らしい景色や澄んだ空気、普段見られない珍しい動植物を楽しみに、多くの人たちが山へ出掛けます。

日本の河川

日本には山が沢山ある分、それに応じて川も沢山あります。この豊富な水源は水質が良く、とてもきれいな事でも知られていて、古くから稲作や酒造り、あるいは染め物といった、日本の生活や文化を支えて来ました。こうした美しく豊かな水源に恵まれたお陰で、日本は現在でも水道の蛇口から安心して直に水を飲む事のできる、数少ない国の1つとなっています。

山の中を流れる渓流は幅が狭く流れが速いのですが、こうした小さな流れが幾つも集まり、やがてもっと幅の広い緩やかな川となって、最後には海へと注ぎ込みます。最も長い川は信濃川(千曲川とも呼ばれます)で、368キロにも渡って長野県の八ヶ岳から、新潟県を通って日本海に流れ込んでいます。その他にも、四万十川という高知県を流れる川が有名で、手付かずの自然が残る川として愛されています。

現在では、都市化に伴う治水や整備事業などのために自然が破壊されて、日本の河川を取り巻く環境はずいぶん変わってきてしまいました。ですが、それでも山に入れば、まだまだ美しい清流が残っていて、晩春になると渓流釣りを楽しみに来る人達で賑わいます。

日本の湖

日本で最も大きな湖として有名なのは、滋賀県にある琵琶湖(674平方キロ)です。また、秋田県にある田沢湖は日本で最も海抜の低い所(海面下174メートル)として有名です。

春や夏の行楽シーズンには、湖は釣りやその他のウォータースポーツを楽しみに来る、多くの人出で賑わいます。けれども、釣り客を増やすために外国から持ち込まれた、ブラックバスのような外来種によって、日本の湖の環境は変えられつつあります。元々湖に生息していた小魚をエサに外来種が繁殖し、今や深刻な環境問題を引き起こしているのです。

現在、こうした湖を取り巻く環境の変化を受けて、本来の湖の環境を守る取り組みや研究が行われています。

日本の海岸線

日本の海岸線は、陸地面積の割に半島や岬が入り組んで長い物になっていて、その長さを直線に伸ばすと地球の一周分の実に85パーセント近く(!!)に相当し、距離にすると約33000キロ以上という事になります。その形は様々で、陸地をギザギザに縁取るリアス式海岸から南西諸島の珊瑚礁まで、バラエティーに富んだ美しい港や入り江、磯や砂浜があります。

言うまでもなく、海岸沿いには幾つもの釣り場が沢山ありますし、スキューバダイビングにはもってこいの静かな入り江もあります。また、外海に近い砂浜は、サーファーやボディーボーダーたちのお気に入りスポットと化しています。大抵の場合い、砂浜には濃い青の波が打ち寄せていますが、沖縄と南西諸島だけは例外で、白い砂浜にエメラルドグリーンの波が穏やかに打ち寄せるという、トロピカルな光景が広がっています。

沖縄や南西諸島のような亜熱帯の地域では、様々なマリンスポーツをほぼ一年中楽しむことができますが、それ以外の地域では、海で時間を過ごすのは夏だけの楽しみとなっています。

火山について

日本列島は環太平洋火山帯の上に位置しているため、日本には沢山の火山があり、そのうちの幾つかは今もなお活動中です。

有名なのは、熊本県にある阿蘇山や群馬県と長野県の県境にある浅間山です。阿蘇山は小さな噴火を数年に一度の割合で繰り返している活火山で、同じく活火山である浅間山は、2004年9月1日に中規模な噴火を起こしました。あの有名な富士山は300年ほど前までは活火山でしたが、1707年の噴火を最後に活動を休止しています。その一方で、東京の東沖にある三宅島の噴火は記憶に新しいところです。2000年8月18日、火山の噴火に伴い火砕流が発生した事で、島の住民は安全のために島を離れることを余儀無くされました。(2005年2月1日に、噴火災害による全島民の避難が解除され、島民の方々は帰島を果たしました。)

火山には、このような我々人間の生活や安全を脅かすような弊害もありますが、同時に私達が火山によって受ける恩恵がある事もまた事実です。全国各地に湧き出る温泉や火山特有の独創的な景観は、その副産物と言えるのではないでしょうか。

温泉について

ありがたいことに、火山のお陰で日本には沢山の天然温泉があります。その数は全国各地に3000以上もあると言われていて、どの地域もその恩恵にあずかっています。

幾つもの温泉が温泉町として発展し、現在でも高い人気を集めている所もあります。旅館やホテルに泊って温泉に浸かり、おいしい郷土料理を味わって2、3日のんびり過ごすのを楽しみに、こうした温泉町を毎年大勢の人が訪れます。

日本の温泉は、温泉法によって細かく定義されていますが、一般的には「重炭酸ソーダ、ラドン、硫黄、といった色々な鉱物が溶け込んだ天然のお湯」として認識されています。溶け込んでいる鉱物の種類に応じて様々な種類の温泉があり、それぞれが異なった効能を持ちます。日本では、温泉が何百年も前からケガや病気の治療に使われてきた経緯がありますが、それもこうした効能のせいではないかと考えられています。例えば、炭酸泉は高血圧や動脈硬化に効きますし、硫黄泉は慢性皮膚病、リウマチや痛風などの関節炎や関節痛に、塩化物泉は血液の循環を良くすることで、冷え性や慢性の婦人病に効果を発揮します。

これらの効能の他に、全ての温泉(特に屋外にある露天風呂など)にストレスを軽減するような癒し効果があって、おそらく日本人が(私も含めてです、もちろん)これほど温泉をこよなく愛する理由はここにあるのではないか、と思いますし、私がこれほど長々と書く理由もこの温泉を楽しむ幸せを、より多くの人たちと一緒に分かち合いたいと密かに願っているからなのです。